2006年07月18日

大正6年の大津波


 千葉県で大津波といえば、元禄の大津波が有名だよ。九十九里の方を襲った津波で,今でも千人塚、百人塚がたくさん残っているから、ものすごい数の人が亡くなっている。しかし、この津波は内湾には来なかった。東京湾を襲った最も大きい津波は、大正6年9月30日に関東を直撃した台風による暴風津波だよ。高潮とも呼ばれるが,30日の深夜から、10月1日の未明に直撃を受け,浦安と行徳は水没し,市川は駅の構内まで水がきた。
由香
 習志野市域はどうだったのかしら。

 不思議なことに,津田沼町だけが、この津波の被害の記録が残されていない。市川から袖ヶ浦町あたりまでの内湾地域は、関東大震災をも上回る被害を出しているので,詳しい被害の記録を残しているのに、旧津田沼町だけがないんだ。
由香
 ということは津田沼町だけが被害がなかったんですか。

 とんでもない。それじゃ、舟橋町史の一部を読んであげるよ。「もちろん市外の被害も大きかった。今の習志野市久々田あたりでは,海岸に通ずる道路,角屋という家より東に向える南側は鷺沼まで2、3戸を残しただけで、見渡す限り破壊流失した。」とある。この角屋というのは、国道14号京成津田沼駅入口交差点にあった家だから、当時のメインストリートの南側は流失,北側は流失または床上浸水の被害を受けたことがわかるね。
由香
 インド洋の大津波があったあとだけに、貴重なお話ですね。ほかに記録があれば教えてください。

 東京湾の最奥部が最も被害が大きかったが,被害の少なかった木更津市の市史を読んであげよう。「10月1日午前2時を過ぐる頃、かかる暴風雨の中を、にわかに津波がしゅう来した。津波は海岸から200mあたりまで押寄せて、いったんはやや引いたかにみえたが、さらに勢いを盛り返し、みるみる町の大半は床下浸水,海岸地帯の住家は、ことごとく床上まで浸水し,はなはだしきは鴨居近くまでも,波に洗われるにいたった。」とある。木更津は死者6人、流失全半壊家屋107棟と比較的被害が軽くてもこんな状況だった。鷺沼などは下駄屋さん一家だけでも7人全員が死亡したと、舟橋町史に書かれているんだから、津田沼町はもっと大きな被害が出ているはずだよ。
由香
 インド洋のときのビデオを見ているようですね。もっと記録がありませんか。

 当時の読売新聞の記事を読んでみようか。「浦安のごときは最も悲惨なもので、245の部落は全滅して全村家なく、海上の漁船が全部陸上に打ち上げられて、それが重なり合って船の市街を形造っている有様だ。」とある。さらに「千葉町は海岸に面せる市街全部破壊され、」とある。10月17日の読売新聞に出ている被害状況は、関東1都4県で死者行方不明約3千人、全半壊流失家屋約6万棟、床上下浸水家屋22万棟という、すさまじいものだった。これによって、東京湾奥部の内湾に面している建物のほとんどがなくなってしまったんだ。ここでは千葉県内のことを話したが,死者も被害家屋数も、人口密集地の東京が一番多かったことを忘れてはいけない。
由香
 たいへんな大災害だったんですね。でも、今では誰も知らないですよ。関東大震災なら誰でも知っているのに,大正6年の高潮の話を知っている人はいませんよ。

 だから、こんなに詳しく話をしたんだよ。インド洋の大津波もあったことだし、災害の足跡を忘れずに記憶し,記録しておくことが重要なんだ。旧津田沼町はそれを全くやっていなかったんだ。
由香
 それでは質問します。インド洋の大津波では、その高さを後世に伝えようと、波の高さと同じ高さのポールを立てて示していると聞いています。大正6年の波の高さを伝えるものが,津田沼に残っているんでしょうか。そもそも何メートルくらいの波だったんでしょうか。それと、海岸には甘藷を中心とした物資を海上輸送する為の倉庫群があったと思うんですが,すべて破壊されてしまったんでしょうか。

 それがどちらも奇跡的に残っているんだよ。
由香
 そんな話聞いたことがありませんよ。本当ですか。




posted by 絢 at 22:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
地震は本当にこわいです。 備えは常に必要です。
Posted by T.I at 2007年03月10日 07:01
先週 船橋市東中山の木造住宅耐震補強の現場監督に行った時、家主の85歳のおばあさんから、大正6年に大津波があって、近くまで浸水したとの話を聞きました。過去に東京湾では大津波は無かったと思っていましたが、、地震ではなく、台風が原因の津波と聞いて理解できました。 この様な過去の災害を知っている人は凄く少ないと思っていますが、上記情報はどこに行けば入手できるのでしょうか?
Posted by ヤシマ ノブヨシ at 2007年06月03日 08:24
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