先代市長の家が、数々の歴史を刻んだとはどういうことですか。
爺
たびたび出てくる話で恐縮だが、千葉県には、松井天山の絵図がある。松井天山は昭和初期に、県内のほとんどの市町村の、商業目的つまり掲載料を取って絵図を書き、掲載料を払ってくれた金額によって、詳しく絵図に屋号や名前を書きこんだ、ということをした。このおかげで、千葉県内の市町村は、昭和初期の姿が絵図のかたちで詳しく記録されている。他の都道府県にはない、きわめて貴重な記録になっている。
さて、ここに昭和3年の旧津田沼町の松井天山の絵図がある。吉野園茶舗のところはどう書かれているかね。
由香
吉野信と読めますね。
爺
そのとおり、吉野信という人は、昭和6年から昭和21年まで、旧津田沼町の町長をつとめた人なんだよ。
由香
ということは、この吉野園茶舗の家からは、町長と市長の二人の長を輩出した家柄なんですか。
爺
二人出すということは、津田沼きっての名家といえるだろう。今まで、二人の長を出した家はないからね。それだけじゃない、皇族とも関係しているんだ。
由香
皇族ですか? まさか。